離婚時、浮気調査の探偵費用は請求できるの?条件は?
浮気調査は費用が費用なだけに、離婚時、探偵費用を相手側に請求したい気持ちになるのは当然のことだと思います。
離婚後の生活のことを考えても、費用を請求できるかどうかは重要なことですよね。
ただ、一見、相手側の不貞行為が原因の離婚であれば、請求できそうなものですが本当にそうなのでしょうか?
仮に請求できるとして、夫、浮気相手のどちらに対して請求できるのでしょうか?
また、探偵費用の請求には何かしらの条件はあるのでしょうか?
本ページではそれらの疑問に答えるべく、離婚時の探偵費用の請求について調べたことをまとめます。
探偵費用の請求は認められる場合もあれば、認められない場合もある!
探偵費用は高額な費用がかかることから、夫や浮気相手に当然慰謝料とは別に請求できると思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、裁判所の判例を調べてみる限り、探偵費用の請求は認められるケースがある一方で、認められないケースもあるようです。
そもそも不貞行為を働いたパートナーや浮気相手が悪く、こちらは浮気の証拠を集めるために仕方なく探偵に調査を依頼したのに、探偵費用が請求できないことなんてあるの?と思いますよね。
実は、探偵費用の請求が認められるには、ある条件をクリアしておかなければならないようです。
続いて、その「ある条件」について見ていきましょう。
認められるケースと認められないケースの違いって?
探偵費用の請求が認められるケースと認められないケースの大きな違いは「探偵費用が不貞行為の立証に必要であったかどうか」ということのようです。
つまり、請求が認められるための条件は、探偵費用が必要なものであったことが認められなければならないということですね。
そもそも離婚をするにあたって、『不貞行為等によって夫婦関係を続けていくことができない理由』が必要です。
その理由を正当化するためには、不貞行為の事実を証明するものが必要であり、その証明をするもの、つまり浮気の証拠集めをしなければなりません。
ただ、浮気というのは秘密裏に行われているので、自分自身で証拠集めをするのは困難である場合も多いので探偵社に浮気調査を依頼するわけです。
浮気調査をした結果、法的に有効な証拠を入手できれば、探偵費用は必要な出費だったといえますが、仮に、その浮気調査が失敗したとしたら、その探偵費用は必要不可欠なものとは必ずしも言えないようです。
要するに、「依頼した浮気調査は不貞行為とどのくらい関係しているのか?」ということが肝になるということですね。
浮気相手には請求できるの?
結論から言うと、浮気相手に対して探偵費用の請求が認められるケースと認められないケースがあります。
認められるケースと認められないケースの違いは、どれだけ浮気相手が浮気調査と関係しているか、ということのようです。
たとえば、浮気が原因で家庭の空気が悪くなり、そのことが原因で子供もグレて自殺してしまった場合、この責任を浮気相手に求めるのは無理があることですよね。
つまり、「どの範囲まで浮気相手が責任を取る必要があるのか、その範囲に探偵費用が含まれるのか」ということが認められれば、浮気相手に探偵費用の請求ができるようです。
認められる場合はどれぐらい支払われるの?
もし、浮気調査で出費した探偵費用が認められた場合、どれぐらいの額が支払われるのでしょうか?
浮気相手に請求する場合、全額認められるケースは少なく、加害者(浮気相手)が働いた行為と関係している部分だけの費用が請求できるものが多いようです。
具体的には、100万円以上の金額を認めてくれるケースがある一方で、10万円程度しか認められないケースもあり、探偵費用のうち相当な額を損害として認定しているようです。
◼︎100万円程の請求が認められるケース
・東京地裁平成20年12月26日
→100万円/125万7604円を損害として認定
・東京地裁平成20年12月26日
→100万円/157万5000円を損害として認定
◼︎10万円程の請求が認められるケース
・東京地裁平成20年12月26日
→10万円/50万円を損害として認定
・東京地裁平成20年12月26日
→10万円/207万9000円を損害として認定
また、探偵費用の請求として認められなかったけど、出費した探偵費用の一部を慰謝料の計算に上乗せされる判例もあるようです。
◼︎慰謝料の算出時に探偵費用が考慮されたケース
東京地裁平成生成16年8月31日
この調査費用は、それ自体は本件不貞行為と相当因果関係がある損害と評価することはできないが、原告がそのような出費をしたことは、慰謝料算定の一事由として斟酌すべきである
最後に探偵費用が認められないケースもありますので、その判例も載せておきたいと思います。
◼︎探偵費用が認められないケース
東京地裁平成22年2月23日
被告は、当初から、本件調査の範囲外の時期における不貞行為の事実を認めており、本件調査が本件訴訟の立証に寄与した程度は低いものといわざるを得ないことを考慮すれば、原告が負担した上記調査費用(100万円)は、被告の不法行為と相当因果関係のある損害として認めることはできない
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